多くの人が初詣や神社仏閣訪問の際におみくじを引くことが一般的です。
実際、初詣での訪問者の約30%がおみくじを引くというデータもあります。
例えば、新年の伊勢神宮の訪問者数が約62万人とすれば、その約30%、約18万6000人がおみくじを求めることになります。
しかし、驚くべきことに、伊勢神宮ではおみくじを提供していません。
この神社は約2000年の歴史を誇りますが、おみくじがないとは思いもよらないでしょう。
この記事では、なぜ伊勢神宮におみくじがないのかを解説します。
伊勢神宮ではなぜおみくじを引けないのか?
伊勢神宮に実際に訪れてみると、外宮と内宮を一周するとお守りやお札は見られますが、おみくじはどこにもありません。
おみくじを引くことを楽しみにしている方々には少々残念なニュースかもしれません。
伊勢神宮でおみくじがない主な理由は、「参拝する日は全て吉日である」とされているためです。
昔は交通手段が限られていたため、伊勢神宮への参拝は数日を要し、無事に到着し参拝できたこと自体が幸運とされていました。
伊勢神宮は、日本の聖地として敬われ、江戸時代には「一生に一度はお伊勢参り」という夢を抱かせる場所でした。
また、伊勢神宮の内宮に祀られているのは天照大神で、皇室の祖神です。
そのため、伊勢神宮では個人的な願い事や贈り物を禁じるという原則があります。
おみくじや個人的な願い事を行うことは伊勢神宮の神聖さにそぐわないとされています。
正宮での参拝は、国家の平安と幸福に感謝する場として最適であると言われています。
個別の願いを叶えたい方へ
伊勢神宮を訪れたにもかかわらず、おみくじを引けなかったり、個別の願いを叶えられなかったと感じている方へ、特別な場所をお勧めします。
伊勢神宮には、個人の願い事をかなえることができる特定の宮がありますので、その経験をここで共有します。
■外宮:多賀宮(たかのみや)
伊勢神宮では、多賀宮が高台に位置しており、伝統的に高宮として知られています。
ここは長い階段を登った場所にあり、願い事には最適な場所です。
■内宮:荒祭宮(あらまつりのみや)
同じく内宮の荒祭宮も階段を登ったところにあります。
伊勢神宮は砂利道が多く、階段もあるため、快適な歩行のために歩きやすい靴が推奨されます。
参拝の正しい作法を学ぶには、こちらの動画が役立つでしょう。
特に「二礼二拍手一礼」の際には、右手の指先を少し下にずらすのが正しい方法です。
この点については、私も動画を見るまでは知りませんでした。
周辺でおみくじが引けるスポット
伊勢神宮自体にはおみくじの設置はありませんが、内宮のすぐ近くにあるおかげ横丁でおみくじを体験できます。
350円で「干支みくじ」を引くことができ、中にはおみくじが入った陶器が用意されています。
自分の干支や今年の干支の陶器を選ぶことができます。
伊勢神宮訪問の記念に、このユニークなおみくじで今年の運勢を占ってみるのはいかがでしょうか?
伊勢神宮のユニークな特徴
伊勢神宮には、他の多くの神社にあるようなものが欠けている点が幾つか存在します。
■狛犬
伊勢神宮には狛犬が設置されていないのは、その起源が古く、狛犬が日本に導入される以前から存在していたからです。狛犬が一般的に設置され始めたのは江戸時代です。
■注連縄(しめなわ)
多くの神社で見られる注連縄は、伊勢神宮にはありません。代わりに、神聖な場所を示す「榊」を用いています。榊は「境になる木」として、神聖な境界を示す目印とされています。
■賽銭箱
伊勢神宮の内宮と外宮には、一般的な賽銭箱が設けられていません。代わりに、白い布で覆われた特別な場所があり、そこでお賽銭を受け付けています。
この場所は写真撮影が禁止されているため、その様子を見ることはできませんが、訪れた人々は白い布の上にお賽銭を置きます。
伊勢神宮は2000年以上にわたり、その姿を変えることなく伝統を守り続けています。
歴史上の人物もこの神聖な場所を訪れており、かつての大名たちが同じ道を歩んだと考えると感慨深いものがあります。
今では、「一生に一度はお伊勢参り」と言われるほど、容易に参拝できるようになりました。この年に一度は伊勢神宮を訪れてみてはいかがでしょうか?
この記事で、「伊勢神宮におみくじがない理由、そして他にもないもの」について掘り下げてみました。